台湾人観光客を理解する・台湾素食のルーツとなる台湾仏教・道教とは何か

台湾人観光客を理解する・台湾素食のルーツとなる台湾仏教・道教とは何か

我々が住む日本には、連日多くの海外観光客が訪れます。観光客の出身地は多岐にわたりますが、国別、訪日海外観光客数の第3位に位置するのが台湾です。

台湾人の国民性はおおらかでチャレンジ精神旺盛。親日家の方が多いことで知られています。そして台湾国民の2割が菜食主義であるという「ベジタリアン大国」であることから、肉、魚、乳製品などを使わない料理、「台湾素食」が発展しました。本来の台湾素食は修行僧が食べる精進料理ですが、そのルーツは台湾に根付いた宗教である台湾仏教や、道教と関係があります。ではその台湾仏教や道教となどんな宗教なのでしょうか?

独自に発展した台湾の仏教は今も進化し続ける

台湾仏教の起源は18世紀以降。経済の発展や統制の緩和の影響で中国南部から多くの住民が台湾に入植しました。

彼らの信仰する仏教は、観音菩薩を神格化したようなものでは無く、無神教の立場を強めた仏教で、それと一緒に数多くの仏教教義が台湾に伝わったと言われています。台湾の仏教徒は500万人を超え、全人口約2割を占めます。

以前は民族宗教的なものであった台湾の仏教は時代のうねりと共に変化し、現在は禅を主とした仏教に大きく変革しました。台湾は、文明の歴史こそ他国に比べて浅いですが、仏教に関しては、他国と違った独自の発展を現在も続けているのです。

道教とは「道の教え」そのもの

道教とは中国民族の伝統的な宗教で、台湾や東南アジアの華僑、華人などの間で信仰されています。

信徒は全世界で約3000万人。紀元前三世紀における中国の哲学者である老子が創立させました。「老子」は高校の古典の教科書に掲載されていることもあるので、名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。道教は17世紀ごろ台湾に伝来し、信徒は国内で約450万人。道教では「道は学ぶことができるが教えることはできない」と言われていますが、これは即ち、「言葉で言い表す事ができる道は真の道ではない」という教えを意味します。

道教の始祖「老子」は謎に満ち満ちている

中国の哲学者であった道教の創始者である老子。「老子」という呼び名は「偉大な人物」を意味する尊称であり、本名も定かではないという謎に満ちた人で、その生い立ちや存命期なども定かではありません。「上善は水の如し(最上の善とは、水のように争いを避けて生きることだ)」など、数々の名言を残した思想家でもありました。

純粋な仏教、道教だけじゃない!台湾宗教の殆どは仏教と道教が混在したもの

台湾人観光客を理解する・台湾素食のルーツとなる台湾仏教・道教とは何か

戦後、宗教に対する概念が柔和になり、仏教と道教が合流する、という流れが起こりました。その結果、一つの神殿に異なる神を祀る、という現象が見られるようになり、台湾宗教における独自の宗教概念が生まれ育っています。

その中には「新北市の法鼓山」、「南投の中台禅寺」、「慈済基金会」、そして「高雄の佛光山」と呼ばれる「台湾四大仏教」があり、これらの仏教や、純粋な仏教、道教の信徒を合わせると、台湾人口の8割以上を占めます。

同じアジア諸国でも日本と台湾の宗教概念は全く違う

日本人の宗教事情といえば、大部分の人が無宗教です。自分の祖先が仏教徒であれば、仏壇にご飯や花を供え、お盆や彼岸などに墓参りに行くのではないでしょうか。「貴方が信仰する宗教はどれ?」と訊かれれば「うーん。。仏教かなあ。」と何となく答える人は多いでしょう。

日本人の大部分が「無宗教」であることに対し、台湾人の大部分は何かしらの宗教を信仰しており、日常生活の一部として溶け込んでいます。毎日お経を読む事を習慣としている方も多く、宗教概念が日本人と比べて強いと言えます。また寺社仏閣の数が非常に多く、道を歩いているだけで多くのそれを見ることができるでしょう。

素食は宗教的な戒律を守るために生まれた

素食料理を食べる方は、宗教的な理由により、肉、魚介類、五葷(ごくん)と呼ばれる5つの野菜(にんにく、ねぎ、玉ねぎ、らっきょう、にら)、卵、乳製品を食べません。これは台湾の仏教、道教並びにそこから派生した仏教系宗教の戒律を重んじているためなんですね。

戒律を厳格に守る人は、肉、魚介類、五葷(ごくん)、卵、乳製品を生涯にわたって一切食べません。但し、素食を食べる方全てが厳格にそれらを食べないという訳ではなく、「宗教上の法要がある日のみ素食を食べる」という方もいらっしゃいます。

台湾の宗教無くして台湾素食は語れない

さて、ここまで台湾素食のルーツとなる台湾の宗教についてご紹介してきました。「ベジタリアン大国」と呼ばれている影には宗教的な事情があったんですね。

台湾の宗教は、仏教や道教だけでなく、仏教や道教が融合した台湾独自の宗教がうねりを起こし、独自の進化を遂げていきました。「ヘルシーで栄養価の高く、美味しい」ことで各国のベジタリアンの方に注目され続けている台湾素食。これからの進化が楽しみですね。